春は忙しいですね!

春の麗らかな陽気がー、サクラの開花宣言がー、なんて言ってたら突然寒くなりましたね、松尾です。
本日は朝から居りますものでいい加減頭が回らなくなってきました(笑)

年度替わりの春、忙しいのは仕方ないんですけれどもね。
そういえば新元号の発表がいよいよ4日後に迫ってきてます。楽しみですねぇ。
ひそかに新元号松尾なんていうのを期待してますけれどもどうなんでしょ。
(何かの間違いでなっても(ならない)逆に困りますけれども

さて、以前お話していたボーイング737 MAX-8機の事故に関する話題です。(唐突

昨年秋、今春と短い間隔で事故を起こした(私の中で)話題のボーイング社製737 MAX-8機の、春の事故原因に暫定的な見解が示されてます。
最終調査報告は確かまだ発表されていないかと思いますので、まだわかりませんがほぼ有力説、といったところでしょうか。

その事故原因というのが、自動制御システムプログラムの欠陥、ですね。

興味がない方には知らない話だと思いますが、実は自動車において昨今騒がれている自動運転システム、飛行機にはずいぶん昔から搭載されており、今や航行の大半をコンピューターが担っています。
そして、飛行機に搭載されているコンピューターは飛行機を飛ばす、だけではなく、エラーに対処する能力も持ち合わせているんです。

具体的な例を出すと、速度超過やその逆速度不足などに気付くと勝手に速度を回復するよう、調整をする。
墜落の危険性があるにも関わらず、パイロットが気づいてなく高度を下げ続けてしまっているときに高度を回復する動作をとる。
などなど様々”安全に飛ぶために”パイロットを補助してくれるシステムが搭載されています。
そしてそのシステムやパイロットに情報を送り込むためのセンサーも大量に積んでるんですね。
例えば、対地接近警報を出すためのセンサーであったり、飛行機がどのくらい傾いているのかをあらわすセンサーであったり、もちろん車同様燃料の残量はどのくらいなのかや、速度計、エンジンの様子を教えるセンサーであったり。

今回の事故はそのセンサーのうちの一つ、仰角センサーから端を発し、MCASと呼ばれるシステムの問題へと発展したようです。

仰角センサーとは、文字通り、飛行機がどのくらい仰向いてるか(変な日本語)を検知するセンサーです。
ざっくり言えばどのくらい前後に傾いているのか、ですね。
迎え角が大きければ急上昇急下降、小さければ水平に近い角度、ということになります。

MCASとは、 Maneuvering Characteristics Augmentation System 、Wikipediaなんかだと操縦特性向上システム、なんて訳があてられてます。
簡単に言ってしまえば、飛行機が操縦不能ないしは困難になる前に自動で通常操縦できる範囲に戻してあげるよ!システム、ですかね。

そして、飛行機は飛行翼面に風を受け、風の速さの違いを利用して空を飛んでいます。
ざっくりいえば、翼の上を風(=大気)が早く通り過ぎ、翼の下を風(=大気)がゆっくり通り過ぎると浮くんです。不思議ですね。はい。
詳しく知りたい方はこちらをどうぞ(他力本願
航空力学というのは、物理力学分野でもかなりハイレベルな部分でして説明も難しいんですよ…

翼が前後に動くのを見たことある方はいないと思いますが、この飛行翼面は当然傾かないのです。
いやまぁ、フラットやスラットと呼ばれる装置が付いていて離着陸時など低速域の状態ではそれが補助的に揚力を増やす機構になってるためある意味では翼面における調整は行われているんですがまぁそれはさておき。え、翼が動く飛行機もあるじゃないかって?それはカナード翼というやつでこれまた大気速度を調整するためのうんたらかんたら(以下自粛

ですから、飛行機本体の仰角というのは翼に揚力を生じさせるために非常に大切になってくるわけです。
極端な話、傾きが大きく、垂直に近い形になれば翼の腹で大気に当たる形になりますから、翼の上下における風の速さに差が出ないことになりますよね。
すると浮く力(=揚力)というのが得られず墜落してしまうことになります。

え、戦闘機は垂直に近い角度で飛べるじゃないかって?
あれはまたちょっと違う原理も組み合わせてるので、旅客機に限って話を聞いてください。

と、いうわけで。
仰角が一定以上になると、速度を失う、つまり失速という状況になり飛行機は落下、タワーオブテラーもびっくりのフリーフォールになってしまいます。
あ、紙飛行機を真上に投げてみてください、どういう状況かわかりますから。

仰角が異常な数値になると墜落するのはなんとなくご理解いただけたんじゃないでしょうか。
そう、ここで登場するのがMCAS。
仰角センサーが危険値になると、それを防ごうと自動的に調整を始めてくれるんです。
具体的には、飛行機の頭が上がりすぎてれば下げる動きを、下がりすぎていれば上げる動きを自動で行ってくれるんですね。

なんで上がりすぎや下がりすぎなんてことが起きるのか、っていう質問も結構聞くのですが…
では、皆さん広いところで目を瞑って前後に体をゆっくり傾けてみてください。
そのまま少し静止…



はい、目をつぶったまま、今どのくらい自分が傾いているかわかります?
え、読みながらはできない?それは仕方ない(´・ω・`)

まぁ、平らなところでやってると思いますし、全身で傾くのは至難の業でしょうからわかりづらいと思いますが、意外と人間の水平かどうかの認識は甘いんです。
でも転ばずに人間が入れるのは大半を視覚などの別な感覚器官も用いているから。
ところが、飛行機はお空の上、雲の上。
地面はおろか雲の中や夜の暗闇の中などだったら指標となる”水平ななにか”がない。
ので、水平かどうかがわからなくなる、なんてことがあるそうです。
もちろん、それを防ぐためのセンサーと計器が飛行機にはいっぱい搭載されているので心配はいらないのですが。
っていうかそのセンサーのうちの一つが仰角センサーでー(話が戻ってきた

しかしまぁ、センサーもモノですから故障するし、間違った情報を送ってしまうこともあるわけです。

しかし、制御システムは怪しきは対処せよ、ですから、間違った情報だろうとなんだろうと、危険が少しでもあればプログラムに従って回復動作を開始してしまうんですね。

今回もおそらく、そうだったのではないか、と言われていますが、MCASが異常な機首上げを検知し、機首下げ方向へと回復動作を始めたようなんです。

さて、またまたここで問題。

正常な角度で飛んでいる飛行機が、機首下げ方向の動作を始めたらどうなるか。

はい、落ちますね。
だから落ちたわけですし。

とまぁ、あっさり話を進めましたが、ここまでは何ら問題ない動作ですし、こういった不具合や、センサーの誤検知、システムの不要な動作なんていうのはわりかし日常茶飯事で起きていることなんです。
むしろ、誤検知であってもシステムが動作しないほうが怖いくらい。

問題の核心はこの先にあるんです。
誤検知をして誤情報を送ってしまった、ここまでは致し方ない。
しかし、1つのセンサーが間違った情報を送ってしまい、しかもシステムがよりにもよってその間違った情報をうのみにしてしまった。
それを正すのが未だにいなくならずに乗っている人間の仕事、つまりパイロットの仕事なわけです。
くどいようですが、大勢の命を預かり、かつ大量の可燃性物質、超重量の金属の塊である飛行機は1つのセンサーに頼って飛んでいるはずがありません。
複数のセンサー、複数のモニターが絶えずコックピットに送られているんです。

ですから、誤検知誤動作だとわかった段階で、パイロットは信じられるほかの計器類をもとに正常な飛行を続けることになるわけです。
そのためにはまず、誤情報で間違った動作をしようとしている、あるいは実際にしている自動制御システムをオフにしなくてはなりません。
お前が言ってること、信じてることは違うんだから、黙って俺に任せろ、と。

本来であれば、システムは人間に逆らえないようプログラムされていますから、黙って従うのですが、今回は従わなかった、というのが問題の核心のようです。

いや、べつに機械の反乱だとかAIの暴走だとかそういった大仰な話ではないです。
といった意味では従わなかった、というのは間違いなのかもしれませんが。

当該機材B737 -MAX8機では、一時的なシステム遮断は簡易にできるものの、根本的に遮断するには、結構煩雑な動作を要するようで、その訓練が不十分だった、そもそも難しすぎる、などといった声が上がっているそうです。

私自身で詳しく調べたわけではなく、ネットの海で見かけた話なのですが、

自動制御システムのモーターへの通電を遮断手動でコンソールのトリムホイールを回して手動制御を再確立する

必要があるらしく…
要するに、パソコンが壊れたら電源コードをそもそも引っこ抜いて、斜め45度の手刀をかまさなければならない、といったところでしょうかね(全然違う

とまぁ、長々とお話してきましたが、考察としてはここからが長いんですよねぇ。
(現在22時過ぎ

長くなるので今日はこの辺で失礼しますが(笑)

ざっくりとだけ。

ここが昨今騒がれている、AIと人間の関係性にも一考を問うているような気がします。

今回の件を私の記事だけ見て考えれば、コンピューターに権限を与えすぎた結果、という印象が強いかと思いますが…
これまでの事故を見ると、オートパイロットは正常な動作をしていたのに、パイロットが勘違いをした結果事故になった、なんていう例はたくさんあります。
逆もまたしかりで、今回同様パイロットは正常な判断をし、コンピューターを制御しようとしていたにもかかわらず間に合わなくて事故になった、という例もたくさんあります。
どこで線引きをするのか、その線引きをまたぐ判断指標はどこに設けるべきなのか。
今後、コンピューターと人が共存共栄していくためには、このことを航空業界のみならず様々な人が考えていかなければならないのではないでしょうかね。
この事件を見ても、じゃあ人はコンピューターに従って生きていけばいい、なんてことは言えないでしょう。
また気が向いて時間があればこうした内容も記事にしてみたいですね…

あ、共存共栄っていうなら、コンピューターも考えなければいけないのかな?(笑)

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